山は王権に浴さぬ異界だと言うが,山とは言わずちょっとした林でさえも明るくない時分に出歩くとなんだか恐ろしい.それは「緑豊か」,「自然に囲まれた」,という言葉がまるで表せないでいる現実で,よほど都市化された自然でないと人間一人では立ち向かえないという本能的恐怖なのだと思う.