2010-09-28から1日間の記事一覧

例えそばに大きな道路があって,車がひっきりなしに通過して居てさえ,日没前の背景が黒くなる頃にあぜ道を歩いていると妙な心細さを感じる.なぜかは知らない.でも今思えば,その時の感情が現在の恐怖や孤独感の原風景になったのだろうと推し量れる.

山は王権に浴さぬ異界だと言うが,山とは言わずちょっとした林でさえも明るくない時分に出歩くとなんだか恐ろしい.それは「緑豊か」,「自然に囲まれた」,という言葉がまるで表せないでいる現実で,よほど都市化された自然でないと人間一人では立ち向かえない…

夕方西の空を眺めると厚い雲の縁が見えた.黒い山々と濃い灰色の雲に挟まれて,オレンジに染まった空の帯が窓の端から端まで広がっていた.東京にいると黒とオレンジのコントラストを目にする機会はなかなか無い.久しぶりに昔いた場所を思い出した.