二十年近く前のことだと思うけれど、家族で会社の運動会に行った。広い芝生の上にシートを敷いて、一日過ごしたのだと思う。あるタイミングで私一人残され、例によって何もすることが無いので何もしていなかったのだが、ふと目についた発泡スチロール容器とビー玉で遊びはじめた。容器は人の頭ほどもあり、恐竜の卵を模してギザギザに二つに割れていた。中にはお菓子が入っていたのだと思う。ビー玉が何故あったのかはわかない。とにかくビー玉を卵を二つに割った片割れに入れて、ぐるぐる回して眺めていた。この種のことはいつまででも続けられるタイプなのでいつまでも続けていたのだが、さすがに見かねたのか近くで売り子をしていたお姉さんが声をかけてきた。そうやって遊ぶの、面白そうだね、と。面白いわけ無いだろ、こいつは馬鹿かと思った。