中学校の社会科の時間で、欲しい物だかしたい事だったかを訊かれた時に「二つ折りの携帯電話」と答えた人がいた。見るからに頭の悪そうな顔をしているし、実際その通りなので笑って済ませたのだと思う。そういう時は暗黙のうちに公言できる希望を語ることが要請されているのであって、私的な欲望を語ってはいけない。だが、と今は思う。彼女は少なくとも一つの規範から自由であった。その primitive な様式が現在の私の目指す方向性である。