あの、敵がなんなのかわかんないけどとにかく戦ってる雰囲気っていうのは、ある時代にネットで文章書いてた人に共通のもので
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ああいう悲鳴みたいな文章を必要としない人間のほうが、もはやインターネットには多数派なんだなーと思って。普及率考えりゃあたりまえの話なんですけども。なにが「俺たちの」インターネットを破壊したのかっていったら、そりゃ人数ですわね。ふつうの人たちが増えたっていう。「俺たちの」インターネットっていびつ極まりないもので、異形の人たちが奏でるあたまおかしい音楽を、それを求める人たちが必死で追いかけてたような、そんな時代があったわけです。
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俺が脱出したつもりでいた、あのゴミだらけの部屋のスペックの低いPCの前でさ、画像ひとつ貼るだけでも回線の重さのこと心配しなきゃいけなかったようなあの時代。もうあんな筆圧の高いテキスト書く必要ないっすよ。血の滴るような
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脱出してきたはずの場所を振り返ればまだそこに人がいて、呪詛のかたまりみたいな文章を叩きつけてるわけです
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いまとは比較にならないほど狭い「インターネット」とやらいう世界のなかでさ、ひょっとしたらだれかはその場所のこと肥溜めみたいな場所だとか言うかもしんないけどさ、だれがなに言おうとそんなん知るかよ。そこは俺が初めて声を上げることができた場所で、その声を聞いてくれる人がいた場所で、俺が聞きたかった声が聞けた場所なんだよ。
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かつて、俺たちは、インターネットだった。