見た夢のこと.久しぶりに鮮明に思い出せる.何だか何もかも宙ぶらりんな話だった.大学入試に落ち,予備校にしばらく通っていた頃に手紙が届く.高校の卒業手続きが完了していないとのこと.そんなはずはないと調べてみると確かに卒業していない.その上中学校の卒業もまだであることが分かった.どうやら何も終えずに今の身分になってしまった模様.何とかならないかと交渉に行きたいのだが,頭頂部を剃髪した落ち武者のような髪型で,外に出られない.そのうち早く手続きを完了しろ,未納の授業料を払えと督促が来る.いつの間にか通わなくなってしまった予備校からも手紙が届き出す.水を含んだ真綿で身動き出来ないような気分になる.またあの部屋の風景の中にいる.もう五時を回って薄暗く,雨がしとしと降っていて,鷺の声が遠くに響く.柏の葉にぼたぼた垂れる水音が,やがて現実の雨音に遷移した.